お知らせと日記

2019-01-20 09:28:00
IMG_0905.jpg

漆の仕入れでときどき鎌倉に行きます。

古い町並みを残しつつ、商店や個人店の移り変わりもありの鎌倉。

仕入れついでにいつも散策を楽しんでいます。

 

今回は自転車で。

 

 

昼食時間少し前。とりあえず食事をとろうかな、と

六地蔵から長谷方面にペダルを踏み込む。

 

個性的な個人店がちょいちょいあっておもしろい散策道路。

 

選択肢はいろいろあったのですが
なぜかす〜っとなんの気負いもなく、あるお店の前に自転車停止。

 IMG_0907.jpg

ベルグフェルド、、というドイツパンレストラン。

まだ11時をちょっと過ぎた店内は人も少なめ。
「どちらでもどうぞ」と促されて奥の席についた瞬間、、

 

「あれっ?」

この椅子って、、

 

20代半ば若い頃、僕は木工家を目指して神奈川県内の西洋家具工場に入社しました。

昔の徒弟制度が衰退してきたとはいえ、まだ上下関係がはっきりしていて
{修行}という感覚が強かったことが思い出されます。直角、水平、平行、
垂直、、就業中と自主練習などで自分の体に叩き込んでゆく日々。。

 

幾年か経った頃でしょうか、他から見てきっと向いていると思ったのでしょう、
「主に椅子をやってみたらどうか?」と、当時の親方からのご意見。
自分でも「自分向きかな?」と思っていたので椅子の製作を主に担当するようになりました、、

 

 ●

 

話が脱線してしまいましたが、このレストランの椅子。
パーツの仕組み、後ろの焼印の形と大きさと押印の位置から判断すると、
ちょうどその頃の製造ロットと判断できます。
かなりの確率で自分が手にかけていたかもしれない椅子に偶然出会ったこの感覚。
不思議な感覚。

 

捻じれ、や歪み、グラつきやガタなく、使い込まれた表情はとても誇らしく感じました。

 

 

そして僕は思いました。

作り物は使い込まれた後に本当の姿を魅せてくれるのだなあ、と。

今、完全ではありませんが独立して品物を作っています。

永く使えるもの、しっかりした物を作ることを念頭に置きながらやってきたつもりだったのですが、甘かった。

この椅子を見て頭をひっぱたかれた衝撃を感じたということは、
これまでの行動が否と言えるのでしょう。

 

イチからヤリナオセ。

 

そんなメッセージを昨年暮れに亡くなられた恩師から頂いた気がしました。

 

ーーーー

 

お店の人に聞いたところ、

この椅子を入手したのが25年ほど前だそうで、 店内にあるたくさんの椅子の中でも

この椅子が一番しっかりしている、とのこと。

 

感慨深く、当時のことを思い出しながらのランチ。

とても美味しく、、、と言いたいところですが

味わいの感覚を忘れてしまっていた時空間。

 

 IMG_0909.jpg

 

すみません。次来店するときはしっかり味わって食べたいと思います。

 

そして、ここに来れてよかった。
ありがとうございました。